白い華に蘇る、彼女の笑顔。

いつでも、どんな時でも笑顔を忘れなかった。すぐ隣で微笑んで、支えてくれた。癒してくれた。

けれど。

降りしきる華の向こうに倒れる李苑が、聖を見ることはない。

そして、聖もその微笑みを見ることは、もう、ない──。


華を受け止めた右手が、カタカタと震える。

震える右手を左手で包み込んで、そっと華を握り締め、額に当てた。

「李苑……!」

名を呼んでも、戻らない、笑顔……。



白い華が一頻り落ちると──ヴァジュラが現れた。

「こうなっては仕方ない。今すぐに貴様を葬り去る!」
 
ヴァジュラは素早く動き、聖の目の前に来た。そして、その長く鋭い爪を聖の喉に伸ばした。
 
キィンっ!
 
それは聖の剣に弾かれた。

「──ふざけんな……!」
 
一粒涙を溢し、ギッと睨みつける。

「ぶっ殺す!!」
 
ガキィン、と鈍い音を立て、爪を払いのける。

「うあああああっっ!!!」
 
怒りのまま、ヴァジュラに向かっていった。