いつまでも護ってもらうつもりはないよ。
 
これからは俺が護る番。
 
俺だって、男なんだから──。



「こいつらっ……」
 
阿修羅王は、ギュッと紅葉の体を抱きしめた。

「……どうやら、互いに“贄”を貼り付けていたようだな……」
 
 
相手の身に何かあった時、その厄災を我が身に引き受ける。
 
皮肉にも、お互いを護ろうとして同じ事をし、紅葉と蓮は同時に命を絶つ結果となってしまったのだ。

「馬鹿、野郎がっ……」
 



 
静かにそれを見守っていたフォーチュンは、ゆっくりと回り続ける巨大な歯車に触れた。
 
眉をひそめ、消え去った二つの光を眺める。


『こんな、ことが……』

 
信じられない、といった口調だ。
 
それもそのはず。
 
彼女の目に映っていた未来は、別のものだったのだから。