短い睡眠の後待っていたのは、薄闇の朝だった。
 
午前8時。とっくに太陽は昇り、暑い日差しが照り付けているはずの時間。
 
だが、太陽はまったく見えなかった。
 
相変わらず空には暗雲、そして冷たい風が吹き荒れている。


「おはよう!」
 
階下に下りてくると、すっかり傷の回復した蓮が笑顔で迎えてくれた。

「蓮! 元気になったんだな!」
 
蒼馬は思わず蓮に飛びつく。
 
真吏も李苑も、紅葉も、ホッとした顔をする。特に十夜は体を震わすほど安堵していた。

「良かった……」
 
聖がそう声をかけると、蓮ははにかんだ。

「へへ、ごめん、心配かけちゃって……」
 
そこに十夜がやってきた。

「蓮……私のせいで、ごめんなさい……」
 
頭を下げる十夜に蓮は少し驚いたようだが、皆で事情を説明すると、パッと笑顔になった。

「良かった、元に戻ったんだね」
 
その笑顔に、十夜は鳩が豆鉄砲を食らったような顔をする。

「わ、私は、お前を殺すところだったんだ! そんな風に、笑わないでくれ……」

「えっ、いや、そんなこと言われても……確かに痛かったし、頭にきたけど、それは君の意思じゃなかったんだし……あっ……っていうか、俺があっけなくやられちゃったりしたから、君に余計な罪悪感持たせちゃったんだね、ごめん……」
 
そう言う蓮に、紅葉と李苑はクスリと笑った。