何十畳もある広い和室。
そこに一人、ぽつんと正座をしている。
他には誰もいない。あるのはただ、静寂のみ。
真吏は静かに目を閉じた。
幼い頃過ごした別邸。
忙しい両親からは毎日のように玩具などの贈り物が届けられた。
けれど、本当に欲しいものはそんな玩具ではない。執事に笑顔で渡される、綺麗に包装された大きな箱。それを自ら開けたことはなかった。
本当に欲しかったものは。
心。
愛情。
ただそこにいて、笑いかけて欲しかった。
他愛もない話を、頷きながら聞いて欲しかった。
(孤独だった)
真吏は、大きく息をつく。
「だが」
カッと目を見開き、立ち上がる。
「それがあの人達なりの愛情だったのだと、今は解る」
鋭い目線を、奥の間へ向けた。
空間が揺らぎ、部屋が消える。
残ったのは、朱に染まった空間と、ファリア。
「どうした。“気”が乱れているようだが。……せっかくの幻術が効力を失くしている」
そこに一人、ぽつんと正座をしている。
他には誰もいない。あるのはただ、静寂のみ。
真吏は静かに目を閉じた。
幼い頃過ごした別邸。
忙しい両親からは毎日のように玩具などの贈り物が届けられた。
けれど、本当に欲しいものはそんな玩具ではない。執事に笑顔で渡される、綺麗に包装された大きな箱。それを自ら開けたことはなかった。
本当に欲しかったものは。
心。
愛情。
ただそこにいて、笑いかけて欲しかった。
他愛もない話を、頷きながら聞いて欲しかった。
(孤独だった)
真吏は、大きく息をつく。
「だが」
カッと目を見開き、立ち上がる。
「それがあの人達なりの愛情だったのだと、今は解る」
鋭い目線を、奥の間へ向けた。
空間が揺らぎ、部屋が消える。
残ったのは、朱に染まった空間と、ファリア。
「どうした。“気”が乱れているようだが。……せっかくの幻術が効力を失くしている」


