FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1

ファリアの声は遠くから響いてくるような、耳元で囁かれているような、不思議な響きをしていた。

「さて……これが壊れた時、お前はどうするんだろうね?」

「何……?」
 
辺りは暗くなる。何も見えない程の暗闇へと一瞬にして変化する。
 
その中で蓮とファリアの姿だけがはっきりと浮かび上がった。蓮はキッとファリアを睨んだ。

「何をする気なんだ!」
 
ファリアはニイっと笑い、静かに手を挙げた。するとそこに紅葉の姿が現れた。

(紅葉……?)
 
蓮はファリアの言葉を思い出す。

『これが壊れた時、お前はどうするんだろうね?』
 
“これ”とは──過去。
 
蓮にとっての過去とは?

(──紅葉だ!)
 
今の蓮があるのは紅葉がいてくれたおかげ。もし彼女がいなかったら、自分はここにはいられない。

(それが壊れたら?)
 
蓮はハッとしてファリアを見た。ファリアは冷徹な笑みを浮かべたまま、紅葉に剣をつき立てた。

「紅葉っ!!」
 
駆け寄ろうとしても体がまったく動かなかった。
 
紅葉の体はまるで硝子のように砕け散り、バラバラになって闇の中に落ちていく。

「あっはははは! あーっはははは!」
 
ファリアが声を出して笑うのを、蓮はどうしようもない自分の怒りの声とともに聞いた。