(そういえば、良く悪戯してお母さんに怒られてたっけ)
 
それで紅葉が「ちゃんと謝りなさい!」と怒鳴りながら蓮を追いかけてくるのだ。
 
週末となるといつもこの家に両親とともに遊びに来ていた。年の近い紅葉は生まれた頃からの遊び相手で、まるで本当の姉弟のように仲が良かった。……たまにこうして怒られはするけども。

昔を思い出して蓮はクスリと笑った。

そうだ……。この頃までは、自分も紅葉も何も知らない、ただの無邪気な子供だった。それぞれの両親が生きていた頃までは……。

 
ふと景色が変わる。
 
綺麗な青空から、暗闇へ。
 
ザアザアと雨の降りしきる、カーブのキツイ細い山道。

(ここっ……)
 
ドキッとする。
 
“あの日”以来、この道はずっと避けていた。

紅葉も、陰陽家総会の帰り道はここを通った方が早いのに、絶対にこの道を通ろうとはしなかった。
 
何故なら。