FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1

「どうやったら目を覚ましてくれるかしら。……李苑ちゃん、聖をお願いね」

「はい」
 
紅葉もファリアの元へ走っていく。
 
本当に。
 
どうすれば、ヴァジュラの呪縛が解けるのだろう……。


 
3対1ではさすがにファリアも分が悪いのか、少し押されていた。

「ファリア、頼む、正気に戻ってくれえ~!」
 
ギイン、と剣を交えながら、蒼馬がファリアに言う。しかしまるで話を聞いていないかのように、ファリアは無表情だ。

「どうしたら解ってくれるんだろう……」
 
蓮は泣きそうだ。

「傷つけずに呪縛から解き放ってやりたいが……難しいな」
 
真吏は唸る。
 
傷つける事は出来ないが、やられるわけにもいかない。
 
3人は一旦後ろに退いた。
 
そこに紅葉がやってくる。

「ファリア……」
 
3人が退いたことで、ファリアも態勢を整えるため剣を下げた。

「貴女はどうして“そっち”にいるの?」
 
今なら話を聞いてくれるのではないか。
 
そう期待して、話し掛けた。

「そうだよ! 君は俺達の仲間なんだ! ヴァジュラの言うことを聞いちゃ駄目だ!」
 
蓮も叫んだ。
 
真吏、蒼馬は黙ってその様子を窺う。ファリアの表情に変化はない……。

「煩い蝿どもが」
 
短く言葉を吐き捨てると、高くジャンプして4人を飛び越え、聖と李苑の近くにある電灯の上に降りた。

「待てよ!」
 
蒼馬達が聖達の元へ走ってくる。それを見て、ファリアは薄く笑った。

「──来ては駄目です!」
 
彼女の表情に冷たいものを感じた李苑が叫ぶ。
 
しかし……遅かった。