FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1

結局また妖魔に囲まれる。
 
妖魔の持つ槍が、執拗に追いかけてくる。
 
まだファリアは見つからないのだろうか……とジリジリしてきた時。
 
李苑が目を開いた。

「聖くん、あそこです!」
 
李苑は聖の真後ろの上空を指差した。
 
それを聞いた聖は、右手だけ李苑から放し、剣を手にし、振り向き際に技を放った。

「爆炎、煌っ!!」
 
ドオオ、と音を立てて炎が走る。
 
何もない空中で、何かに撃ち当たったかのような爆発を起こした。
 
確かな手応え。
 
妖魔の姿が次々と消えていった。同時に、変な違和感も消える。恐らく結界が消えたのだ。

「やっ……た」
 
剣が手から煙のように消えると、聖の体がグラリと崩れた。

「聖くん!」
 
慌てて李苑が支える。
 
そのままゆっくり地面に膝をつき、ペタンと座り込む。

「大丈夫ですか!?」
 
心配そうに顔を覗き込む李苑に、微かに笑って応える。

「すみません、探すのに時間がかかってしまって……」

「……いや、大丈夫」
 
時間がかかってしまったのは仕方ないことだ。敵の結界内で、力も抑えられていたはずだから。
 
しかし、体の方は大丈夫ではなかった。
 
まったくと言っていい程力が入らない。このままファリアが退くとも思えないし、どうしたものか……。