FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1

深追いはしない方がいいと思い、その場を離れるが──何か釈然としない。

 
次に人々の悲鳴が上がった時。
 
聖はピン、ときた。

「李苑、結界はいい」

「えっ?」
 
聖の言葉に不思議に思う李苑を残し、猛スピードで妖魔の群れに突っ込んだ。
 
そして、目にも留まらぬスピードで妖魔を斬り付けた。

ゆらり、と妖魔の姿がゆらめく。

「幻惑……だ」

思った通りだった。

(そうか、この違和感は、そういうことか!)

圭一郎からの情報との食い違い。
 
妖魔に接触することを避けるかのようなビルの崩壊。
 
敵を目前に逃げてゆく妖魔達。

それは全て「幻」だということを気付かせないため。
 
そうしたのは何故か。

 
聖はジャンプして李苑のところに戻る。

「ここは多分、敵の結界の中だ。俺達をバラバラにするのが目的だと思う」

「人々を襲う妖魔の姿は……罠だったのですね」

「ああ。こんなことが出来るのは、多分……」