FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1

「ちょっと待ってて」
 
そう言い、近くにあった電柱の上までジャンプする。

そこに立つと、先程までいた商店街が見えた。瓦礫に埋もれたそこに、妖魔の姿がない。

「聖くん!」
 
李苑が呼ぶので、一旦下に戻る。

「結界の中に妖魔はいないみたいです。……何だか、変、です」

「変?」

「はい。うまく言えないのですが……違和感が」
 
聖よりも李苑の方が感覚が鋭い。
 
その彼女が「何か変だ」と言うのだ。きっと「何か」あるのだ。

「分かった。気をつけよう」

「はい」
 
 

それから結界を解いてもらう。
 
崩れたはずのビルは、綺麗に元通りになっていた。
 
結界の中はいわば異空間。姿形は同じだが、結界の創造者の世界となっているため、現実ではビルは崩壊していない、ということになる。

 
高いビルの上に移動した2人は、そこから辺りを見回す。
 
確かに、何か変だ。
 
何か見落としているのだろうか……?


「聖くん、どうしますか? 東京タワーで皆さんを待っていた方が良いのでしょうか。何だか……嫌な感じです」

「うん。俺もそう思う。東京タワー、行こう」
 
何に違和感を感じているのかはっきりしない今、頼りになる仲間達との合流が一番の得策と考え、2人は東京タワーへと向かう。

 
跳んでゆく途中で、また人々を襲う妖魔と遭遇する。
 
先程のように李苑に結界を張ってもらい、妖魔を倒そうとするが、聖達が姿を見せるとまるで潮が引けるように散っていく。