「はい。紅葉さんに教えていただいたので、出来ると思います」
そう言い、大きく息を吸い込んだ。
ゆっくりと息を吐き、そっと手を広げると、瞬時に結界が広がっていった。
半径5キロメートルは完全に飲み込まれる。これで人々は安全のはずだ。
「ちょっと待っててくれ、俺が妖魔を片付けてくる」
と、聖は剣を手にする。
「私も……!」
李苑が言いかけた時。
すぐ近くでドオッ、と爆音が響いた。
2人が同時に振り返ると、商店街の向こうにある10階建てのビルが、ゆっくりとこちら側に傾いてきていた。
それは徐々にスピードを増し、聖達の上に倒れてくる。
「李苑!」
急いで李苑の手を引き、力一杯地面を蹴る。
激しい音と粉塵を撒き散らしながら、ビルは瓦礫となって商店街を覆い尽くした。
かろうじてそこから逃げ出した2人は、少し離れたところにある公園の中に着地した。
周りを警戒し、注意を巡らすが、そこには人も妖魔もいないようだ。何の気配もない。
「ありがとうございました」
李苑の声に、振り返る。
一瞬何故礼を言われたのか分からなかったが、手を引いて助けたことに対しての礼だと分かり、軽く頷いた。
その後。
まだその手は繋がれたままだということに気が付き、慌てて手を引っ込めた。
「?」
その聖の行動が不思議だったらしく、李苑は小首を傾げる。そんな彼女を見ないようにして、辺りを見回した。
そう言い、大きく息を吸い込んだ。
ゆっくりと息を吐き、そっと手を広げると、瞬時に結界が広がっていった。
半径5キロメートルは完全に飲み込まれる。これで人々は安全のはずだ。
「ちょっと待っててくれ、俺が妖魔を片付けてくる」
と、聖は剣を手にする。
「私も……!」
李苑が言いかけた時。
すぐ近くでドオッ、と爆音が響いた。
2人が同時に振り返ると、商店街の向こうにある10階建てのビルが、ゆっくりとこちら側に傾いてきていた。
それは徐々にスピードを増し、聖達の上に倒れてくる。
「李苑!」
急いで李苑の手を引き、力一杯地面を蹴る。
激しい音と粉塵を撒き散らしながら、ビルは瓦礫となって商店街を覆い尽くした。
かろうじてそこから逃げ出した2人は、少し離れたところにある公園の中に着地した。
周りを警戒し、注意を巡らすが、そこには人も妖魔もいないようだ。何の気配もない。
「ありがとうございました」
李苑の声に、振り返る。
一瞬何故礼を言われたのか分からなかったが、手を引いて助けたことに対しての礼だと分かり、軽く頷いた。
その後。
まだその手は繋がれたままだということに気が付き、慌てて手を引っ込めた。
「?」
その聖の行動が不思議だったらしく、李苑は小首を傾げる。そんな彼女を見ないようにして、辺りを見回した。


