その言葉には、皆の表情が険しくなる。幻惑で見せられた辛い出来事を思い出したからだ。そして、ヴァジュラが復活している、という事実も……。

「確かに。あの様子ではまた来るだろうな」

「逃げても……駄目だってことだよね……」
 
真吏、蓮の意見を聖は黙って聞く。

(逃げてもしょうがない……か)
 
こんな訳の分からない事態を、受け入れなくてはならないのか。そういう思いはあるけれど。
 
覚悟が必要なのだろう。
 
ヴァジュラとの戦い、そして自分達の〝運命”を、受け入れることを。

「分かった。行くよ」
 
聖は頷いた。

「うん」
 
皆、それに賛同する。その後で、ハッと気付いた。

「その前に。蒼馬の手当てしたいんだけど……」
 
蒼馬はフライパンが直撃して、気絶したままになっていた。

「うわあああっ! 大丈夫蒼馬!?」
 
蓮がすぐに駆け寄ってくる。紅葉はタオルを取りに洗面所へ走る。真吏は蒼馬の顔を覗き込んで、申し訳なさそうに頭を下げた。

 
 

李苑を含む6人は、その日のうちに飛高の修行場へ行き、そこで一ヶ月も修行をすることになった。