「帰りに待ち伏せしてたんだ。あの子が。で、俺は制服姿を見て、陽菜だと思った。今だから言えるけど、陽菜だと思ったからちょっと嬉しかったんじゃ」
王子は、自分の鼻先に触れた。
「でも、陽菜じゃなかった。あの子だった。俺は待ち伏せされると困るからやめてねって言ったんだけど、結構何度も待ち伏せしてて・・・・・・」
知らなかった。
王子のことをこっそり好きな子がいたんだね。
王子、かっこいいもんね。
「で、ある時、付き合ってくださいと告白されたから、はっきり断った。俺は、もう陽菜を好きになっていたから。それっきり会うことはなかったから、俺の記憶の中からも消えてたじゃぁ・・・・・・」
いろんな疑惑が全部解決していく。
そうか。
王子が好きだったんだね。
でも、不審に思われないように、山田を好きなフリをした。
それで、私はまんまと騙された。

