俺は、役所の非常階段に出て、陽菜の高校を眺めた。 ここで、出会った。 出会ったというか、陽菜が俺を見つけてくれた。 この場所でタバコを吸ってる俺をずっと見ていた。 昼休みの高校は賑やかそうで、見ているだけで顔がほころぶ。 声が聞こえるわけじゃないのに、みんなの楽しそうな笑い声が聞こえてくるようだった。 陽菜。 お前は今、どこにいる? と、その時、陽菜からの電話が鳴った。 「もしもし」