「聞いたんですか?全部」
「ああ。聞いた。ごめん。俺のせいだったんだな」
ユッキーは立ち止まってくれた。
俺とユッキーは人通りの少ない路地にあるバス停のベンチに腰掛けた。
「確かに新井先生は俺の婚約者だった。でも、陽菜のせいで別れたわけじゃない。俺と新井先生はうまくいっていなかったし、別れるつもりだった。海外に行ったのも、昔からの夢だった。俺と別れて、ようやく夢を追う決心がついたと言っていた」
陽菜に出会った時、確かに俺は婚約していた。
だけど、俺の心はもう佐知子から離れていた。
佐知子だってそうだったはずなんだ。

