リクエストを基にした・【Kiss】シリーズ 『甘々』・13

「いっいや、だから。本当に人間かどうか、確かめたかったんだって!」

顔をこちらに向け、青年は必死に言い訳をするが、踏み付ける力は緩めない。

「人間だと言ったじゃろうがっ! その耳は飾り物かっ!」

ぎゅうぎゅう踏んでいると、ふと料亭の方から仲人がやって来た。

そして私と青年を見て、ぎょっと眼を丸くする。

仲人が慌てた様子で青年の名を呼んだ。

その名に聞き覚えがあった私は、足の力を緩める。

何せその名は、今日の見合い相手の名前だったからだ。



「…まさかと思うが、私が誰だか分かっていて、ああいうことをしたのかえ?」

「いいや。でもそうかな?って思ってはいた」

部屋の中で、改めて私と青年は二人っきりになった。

仲人が5分ほど紹介の時間を取った後、青白い笑顔で部屋を出て行ったからだ。

その後、青年は私の隣に座り、髪の毛や頭、頬を触れたりしている。

「でもこんなに綺麗なコが嫁さんになるなんて、ちょっと信じられなくて…」