リクエストを基にした・【Kiss】シリーズ 『甘々』・13

「確かにここの桜は立派ぞ。こう見事な桜は、ウチにもないからのぉ」

私は桜を見上げ、そっとその幹に触れた。

しかし青年がじっとこちらを見ていることに気付き、改めて視線と声をかける。

「何ぞ?」

「いや、アンタさぁ…。もしかして桜の精?」

「……はい?」

どーやらまーだ頭の回転が悪いらしい。

寝ぼけなまこで私を見ながら、頭をボリボリかいている。

せっかく立派なスーツを着ているのに、台無しにしている。

なのに本人は全く気にしていないとは…大物なのか、バカなのか。

「何故そう思う?」

が、一応理由は聞いておきたいと思った。

「ん~…。だって古い言葉遣いをするし、桜の着物を着ているし…」

…コレはアレか?

いわゆる電波とか、そういう次元とリンクしているのか?

「それに綺麗だし」

……まあ最後の言葉は良しとしよう。

ちょっと機嫌が良くなったので、笑って見せた。

「残念ながら18になったばかりの小娘じゃ。そなたは?」