「お前がこの子を 傷つけずに この場を去ることを 約束するなら 離してやる。 もし約束しないなら…」 男は腰の刀に手を当てた。 「ひっ… わ、わかったよ! 約束するから命だけは!」 「…早く行け」 手首が解放された武士は 一目散に林の奥に 消えていった。 「大丈夫だったか?」 振り返った男のことを 萌絵はまじまじと 見てしまった。 彼がいかにも 身分の高そうな まるで時代劇のような 着物を着ていたことも その原因の1つだが、 何より彼は とても美しかった。