"恭ちゃん助けて!!"と言えたらどんなに幸せだろう。 でも恭ちゃんに迷惑をかけるわけにいかない。 そして桐生に逆らえるはずがない。 2つの諦めの想いがあたしを思いとどまらせる。 代わりに…ただ目を反らしてしまって…。 バタン… 桐生とあたしと会場を隔てるように扉が閉まった。 この時恭ちゃんに向かって叫んでいたら多分あたしの未来は変わっていたのかもしれない。 でも現実のあたしは桐生の腕の中でただ動けずにいるだけだった。