「ひゃっ…!!」 桐生に担がれるような形で抱きかかえられる。 「やめてください…っ!!」 足をバタバタ動かしてもびくともしない。 「誰に口聞いてんだよ。いいから…行くぞ。」 拒否権はないと言わんばかりにそう告げると桐生はあたしを抱えたままホールの出口へと歩いていく。 周りの人は黙ったまま、もう桐生を止められなかった。 出口に差し掛かった瞬間、一瞬だけ会場に視線を戻すと ………っ!! 恭ちゃんと目が合った。 それはすごく動揺したような様子に見えた。