桐生が席を立ってステージの中央へと歩いていく。 そして一礼する。 会場が静まり返ったそのとき桐生があたしの方を見た気がした。 いや…確かに強く 視線が絡まった―― 見つめる表情がひどく切なげで…情熱的で ドキン ドキン――― なんだか胸騒ぎがする。 震える手を包み込むように胸の前でギュッと握って あたしは桐生の言葉を待った。