その偽りのまま俺は関係ない周りに笑いかけた。 その場しのぎの対応。 我慢するのも全部 もう少し、 もう少しだからさ… 会場の話声に紛れてマイクのスイッチを入れたようなプツンという音が微かに鳴り響く。 俺が聞き逃すはずがない。 だってこれが始まりの合図。 「えー。」と先ほどの司会者が遠慮がちに言葉を発した。 カウントダウンが始まる―― 「ご歓談中誠に申し訳ありませんが、只今より桐生様、ミサト様より今回のご婚約に関してお言葉を頂戴したいと思います。」 今、始まった―――