そう言って桐生が手を差し出す。
パパが立ち上がると桐生は真剣な表情で向き合った。
「来栖さん…いえ、お父さん、そしてお母さん。
俺は萌と結婚することができて幸せです。
こんなに愛しい人に出会えたのはあなた方のおかげです。
萌を生んでくれて…ありがとうございます」
桐生が頭を下げる。
誰もが驚きの表情でその様子を見守る。
愛されてるって実感せずにはいられない。
…あぁ、あたしって幸せものだね。
パパ、ママ、生んでくれてありがとう…
あたしはパパとママの子どもでよかったって思ってる。
だって今までのたくさんの幸せは、ここに生まれたからこそあったものだから…
「ほんと、お前は変わったな」
後ろから降り注いだ冷たい声。
振り向くと…
「親父っ!!」
黒いスーツに身を包み、腕を組んだ桐生のお父さん…
つまり一ノ宮党首の姿。
黒い靴でカツンと音を立てながら近づいてくる。
心臓がドクンッと脈打った。

