走って空港を飛び出す。
手のひらの中の指輪を強く握りしめる。
携帯電話は電池が切れていて連絡のしようがないけど
戻ってる暇なんてない。
早く、一秒でも早く…
伝えたいんだ。
俺の本当の気持ちを。
大好きだって。
愛してるって…
そして主人として
世界で一番最低な命令をお前に…
――――・・・
「お前が俺を守ってくれたんだ」
桐生は指輪を愛おしそうに眺める。
「お前がこの言葉を俺にくれなければ俺は今頃きっとあの飛行機の中で死んでたと思う」
「桐生…」
「ちょうど俺の座っているあたりの席が炎上したらしい。でも俺と使用人達が降りたからそこには誰もいなかった」
「…」
「だから、異変に気付いた係員が誘導して前の方にいた乗客は飛行機が墜落する前に逃げれたらしい」
「…え?」
確か生存者はいないって…
首をかしげるあたしを見て桐生はスクリーンのニュースを指差した。

