でも
「どうしてここにっ?」
事故にあったのは桐生が乗った飛行機だったはず…
「すごい心配してたんだよ!電話も通じないし…」
不安になって顔を上げると桐生は柔らかく微笑んだ。
そしてポケットから何か取り出した。
「これのおかげで助かったんだ」
そう言って桐生は見せたのはシルバーの指輪。
あたしが恭ちゃんに頼んで届けてもらった指輪。
桐生は愛おしそうに中に掘られた文字をなぞった。
「少し長くなるけど、聞いてくれるか?」
――――・・・
恭史郎と別れ飛行機に乗り込んだ俺はずっと指輪のその文字を眺めていた。
―only precious master―
萌は俺のことをずっとそう想い続けてくれたんだろうか…
酷いこと言って
傷つけて
突き放した
…はずだったのに。

