財閥のこと以上にあたしのことを想ってくれていた。 自分を犠牲にしてまであたしのことを守ってくれた。 貴方はたった一人の 愛しくてしょうがない人。 「じゃあ、桐生のところへ行くのか?」 恭ちゃんがニコリと笑う。 「………」 あたしは指輪を真っ直ぐに見つめた。 そして大きく深呼吸した。 「あのね、恭ちゃん」 「ん?」 「明日、もう1つだけ恭ちゃんにお願いしたいことがあるの」 「お願い…?」 首を傾ける恭ちゃん。 あたしは真っ直ぐ彼を見つめ、大きく頷いた。