ありがとう、
ありがとう…恭ちゃん。
長い廊下を抜けて階段下へ降りる。
ホールの横の狭い隙間。
そこにある二つの人影。
そこに桐生とミサトはいた。
二人に確かめようと前に出ようとすると…
「それで、俺と萌が付き合ったままだったらどうなると思う?」
え…?
あたしの話…
「きょ、恭ちゃんっ」
あたしは恭ちゃんの手を引いて、二人の位置から見えない物陰に隠れた。
――――・・・
「どうなるって」
「わからない?俺の親父のことだぞ」
「一ノ宮党首…」
その名前を口にした瞬間ミサトの顔が青ざめる。
「気づいた?ほらよ」
そう言って俺はポケットでぐちゃぐちゃになった一枚の紙をミサトに渡した。
ミサトはゆっくりとしわしわになった紙を開いていく。
「雇用削減計画…っ」
ミサトは驚いたような声を上げた。
「俺が留学しなかった場合に適用される制度だ」

