先にどんな未来が待っているかなんてわからない。
不安の方がずっとずっと大きくて。
でもこのまま終わればきっと悲しみしか残らないよ。
ほんの少しの可能性かもしれない。
でも…
桐生がもし、
もしもあたしのことを思ってこの指輪を用意してくれていたのなら…
「桐生の真実を確かめる前にこれを偶然で終わらせるのか?」
恭ちゃんの言葉に、あたしはゆっくりと首を振った。
「じゃあ」
そう言って恭ちゃんは手を差し出した。
「確かめに行くぞ。今ならまだ間に合う」
「…うん」
あたしはその手をしっかりと握る。
「急ぐぞ」
恭ちゃんに手を引かれて走り出した。

