「…そんなの」
やっぱり偶然なんじゃないかって不安は消えるはずがない。
「まだ半信半疑ってところかな」
図星だよ。恭ちゃんはさすが鋭いな。
俯いたままあたしも指輪に視線を落とした。
「でも…
これが偶然で終わらせるか、運命に変えるかは来栖次第なんじゃないかな」
「え…?」
顔を上げると恭ちゃんは満面の笑顔を見せた。
「だってそうだろ?シンデレラが舞踏会に行こうともせず、家に閉じこもっていたら魔法使いには出会えなかった」
「…うん」
「王子様がガラスの靴を持ってシンデレラを探さなければ二人は結ばれなかった」
「うん」
「もし、二人が運命の赤い糸で結ばれていたとしても何もしなければずっとこのまま…。パーティーが終わって離れ離れになった王子様とシンデレラのままだ」
涙が零れ落ちる。

