「萌、こっちこっち」
「はーい、今行くっ」
大きな段ボールを抱えてあたしは一段、また一段と階段を下っていく。
意外に重い…
足元がプルプルと震える。
「重いだろ、そういうのは男に任せていいんだよ」
頭上から声がしたと思ったら腕が軽くなる。
「恭ちゃん!!」
あたしが呼びかけると恭ちゃんはニコリと笑った。
「いいよっ、これはあたしの仕事だし」
段ボールを取り返そうとすると恭ちゃんはあたしから遠ざけるようにそれを持ち替えた。
「俺も桐生のこと…手伝いたいんだよ。だからいいだろ?」
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