「あたしは桐生に幸せにしてもらってばっかだけど、あたしはどうしたら桐生のことを幸せにできるのかなって」 「別に今でも十分だよ」 「そんなんじゃない…、なんでそんなこと言うの」 膝に置いた手の上に涙がポタリと落ちた。 「ずっとずっと留学のことで悩んでるくせに…」 「…」 桐生の表情が変わった。 「留学…本当は行かなくちゃならないことなんでしょ?」 「…」 桐生は少しとまどったような苦しそうな顔を見せた。 でも覚悟を決めたように大きく頷いた。 「…そうだよ」