差し出された手を握り返して立ち上がる。
「あたしは桐生のこと好きだよ。
でも、桐生はあたしのことを"恋人"として見てくれたことは一度もなかった。
桐生は婚約の話の後もずっと、萌のことしか見てないんだもの。
ほんと…酷いよね。」
そう言ってミサトさんは笑った。
「でも最初、萌は桐生のこと好きって感じには見えなかったからまだチャンスはあるかもって思ってた。
だけどさー、今日のこんな二人のやりとり見せられたら嫌でも諦めるしかないじゃん。
萌も桐生の事好きだったなんて本気でびっくりしたし。」
「ごめんなさい…。」
「また謝ってる!!
お人好しもいいけどもっと自分に素直になったら?
好きな人に好きって思ってもらえる、こんな幸せなことないんだよ。」

