「だって…っ!」
「…理由なんて知らねえよ!でも俺はお前を離さない、たとえお前が嫌がってもな。」
そう言って桐生は抱きしめる腕の力を強めてくる。
息苦しいほどに感じる体温。
高ぶる感情が真っ直ぐに溢れだしてきそうな…そんな感覚。
「好きな奴に好きだって言われてもう我慢なんかできねえんだよ。」
桐生…
その言葉を聞いたあたしの涙は止まらなくなる。
次から次へと溢れて桐生のジャケットの袖にシミをつくった。
桐生のそばにいたいって想いがあたしの心を痛めつける。
あたしなんかが幸せになっちゃいけない。
幸せになれるはずがない。

