恋の魔法。







「よ、良かったの?
お母さん…」

「いいんだ。
あの人いつまでも
過保護なんだよ。
それより、なんで
さっき黙り込んだの?
クラスメイトとも
友達とも言わなかったよね?」













細い路地に手をひかれ、
気づくと背中には壁、
両側に早水君の腕。





下から覗き込むように
見つめる早水君の瞳は
いつもと違う光を
放っていて、目が離せない…。















「オレ…期待してもいい…?」












「あたしは…
本当は…」


















好き。














早水君が好き。








やっと気づいたのに。

















「…離して」

「七瀬さん…」
















〈次裏切ったら
こんなんじゃ
済まないからね〉















さよなら…



あたしの初恋。

















「誤解されると
困るのはあたしなの!!

大体、お母さんだって
あたしにあんなこと
言ったじゃない!


あたしと早水君は…
出会うべきじゃなかった」













それだけ言って
あたしは早水君の
顔も見ずに逃げた。












もう、あんな怖い思いは
したくない…。