恋の魔法。









「次の日から毎日
七瀬さんが見えて。
川の方降りてったと
思ったらなんか
すげえニコニコしてたり
楽しそうに走り回ったり
雨の日に傘置いて
ずぶ濡れで帰ったり
あの人一人で何やってんだ
ホント意味不明だな、
とか思いながらも
毎日見るのが楽しくなってた。

んで、終業式の日
いつもより早く
塾着いちゃって
暇だったから
河原散歩してみたんだよね。
そしたらスーがいた。

あー、七瀬さんは
この犬のために
毎日ここ来てたのかー、
って思って。
すげえ優しいんだと思った。
もっとちゃんと
話してみたいな…って」
















早水君は遠慮がちに
あたしの人差し指を
ちょっと握って…言った。





















「旅行ん時…
オレが話しかけたのは、
七瀬さんが困ってたからだよ」













ドキッ…









いけない…







わかってるのに。











真っ赤な顔をした彼を、





たくましい大きな手を、





あたしは拒絶出来ない…。