「あ~帽子が~!!
風のバカ~!
日焼けしちゃうじゃない!」
突然吹いた強い風に
ミカの帽子が飛ばされ
磯のあたりに落ちてしまう。
「どうしよう。
岩場ばっかだし
取りに行くのは
ちょっと危なくない?」
「でもあれお気に入りなのに~」
「よし!
あたし行くよ!」
「ばか!
由梨が行ったら
2度手間だよ!
一番どんくさいんだから!」
「は~い…」
多分男の子なら
ぴょんぴょんと
跳んでいける
位置なんだけど、
ヒールを履いてることもあり
誰が取りに行くでもなく
ただみんなでうなり続ける。
「どうしたの?」
「えっ、あ…早水君。
風で帽子が…」
「あ~あれね。
ちょっと待ってて」
早水君とかいう人は
身軽にどんどん岩場を
跳びうつって、
あっという間に帽子と共に
帰ってきた。
「はい。
ところで誰の?」
「あ、あたしです!」
「ああ。
はい、どうぞ」
「あ、あの、ありがとう!」
「たいしたことしてないよ。
じゃあ気をつけて」

