「…今何考えてんの?」
「別に…何も」
「あんたさあ
そんな我慢して
何がいいの?」
「え?」
「何でありのままの
自分を隠すわけ」
「だって…
弱み、見せたら…
いいように利用されるだけ、
だと思うから…」
「なんでそう思うの」
「………だって…」
「あ、いいや。
なんか泣きそうだし」
「…!」
「別に泣かせてまで
聞き出してーわけじゃないし
オレは教室戻るけどさ。
世の中そこまで
悪い人間ばっかじゃ
ないんじゃない」
今までずっと
しかめっ面だった彼が
ちょっぴり微笑んで
立ち上がった。
あ、笑うと本当に
ヨシみたいだ。
「そうだ。
オレ、赤阪俊(アカサカシュン)」
「あ、どうも…」
「ん。じゃーな」

