声のした方を
ちらりと見ると
一人の男の子が
立っていた。
赤に近い茶髪。
耳にピアス。
長ったらしい
前髪とえりあし。
多分、いわゆる不良。
あたしは
視線を元に戻す。
「は?シカト?
ふざけんなよ?」
「………」
「まじお前なんなの?」
「………」
「おいなんか言えよ。
何考えてんだよ」
「……こんないかにも不良
みたいな格好してる人
本当にいるんだ、
って考えてた」
「……………」
急に声が聞こえなくなり
男子生徒の方を見ると、
口をあけて
ポカンとしていた。
「…ぷっ。
くっくっく…」
なにこの人…
さっきまでキレてたのに
急に笑い出した…。
「くっくっく…。
お前度胸あんなー。
オレにそんなこと言ったの
高校入ってお前が
初めてかもな。
てかまじで見ない顔だな。
もしかして転校生とか?」
「……………」
「えっ?
まじで転校生なの?
何組だ?」
「……2-1」
「あれっ
オレも2-1」

