恋の魔法。










「…ここまで来れば
大丈夫だろ」

「探してたの?
あたしのこと…」

「そりゃそうだろ。
このへんチンピラ多いから
心配したんだぞ。
まあオレもチンピラみたいな
もんかもしんねーけど」

「…そうだよ。
あんたも、あんたの友達も
あたしからしたら
そのへんの迷惑な
不良と変わらな…」

「やめろ!」













ああ、やっと怒った。





やっぱりあたし、
間違ってなかった。





いくら助けてもらったからって
その人丸々信じていい
わけがないんだ。





人は人をすぐ嫌いになる。



一度嫌いになれば
憎しみは膨らむばかり。





本当に醜い生き物だと思う。










でも、神田咲哉は
怒った…というより
苦しそうな表情で
あたしを見つめていた。














「お前…
嘘つくの下手だ。
特に人を悪く言う嘘。
だって由梨は人の悪口
言うような奴じゃねーよな。
お前、人を悪く言う時
すごい辛そうだ。
無理してんじゃねーよ」

「なんで…?
どうしてそんなに
他人を疑わないの!?
どうしてあたしなんかを
信じてるの!?」