恋の魔法。













7月の初め。



梅雨もそろそろ
明けるころなのか、
今日は朝から太陽が
はりきっている。



駅から学校への
10分程度の道のりでも
なかなかの汗をかく
暑さになってきた。













あたしが転校してきて
そろそろ1ヶ月くらい経つ。



クラスの人たちもやっと
必要以上に話しかけて
こなくなった。







…ただ1人を除いて。













「由ー梨っ!」

「………」











出た。














「もしもーし?
イケメンがあなたに
話しかけていますよー?」

「……………」

「あ、おい待てよー。
ここ突っ込んでくれなきゃ
オレかなりイタイんだけど」












わからない。



こいつだけは
毎日毎日あたしに
くだらないことばっか
たくさん話してくる。








そりゃ付き合ってる
設定があるといっても
そもそも嘘でもあたしなんかと
付き合ってる理由が
わからない。