恋の魔法。








階段の上からあたしを
見下ろす表情は、
後ろの窓から差す日光のせいで
よく見えなかった。












「俊のこと
好きになったんなら、
そうやって言ってくれりゃ
良かったのによー」

「違っ...誤解....」

「いや、別に怒ってねえよ?
てかっ、俺が怒る理由なんて
ねえだろ!」









ははっ、と笑うこいつ。













なんだ、そっか...。



仮にあたしが赤坂君を好きでも、
それは浮気でもなんでもないんだ。



こいつにとっては、
そんなのどうだって
いいことなんだ。















「.....っ!」










バタバタバタバタ....





















「...由梨がせっかく
自分の幸せ考え始めたんなら

俺がそれを阻むわけには
いかねえだろ...!


あー、クソっ!!」















何も言うことができず、
唇を噛んで走り去ったあたしに、

壁を蹴った神田咲哉の
小さな呟きは届くはずもなかった...。