屋上にはあたしたち以外
誰もいなかった。
あたしを柵の方に追いやり
取り囲むように
半円を描いて
みんながズラリと並ぶ。
「ど、どうしたの?」
「…本当にわかんないの?」
「っ………」
「ほらぁ心当たりが
あるんだよねぇ?」
「……ヨシの、ことは…
あたしも話さなきゃって…」
「ヨシ?
なにそれ、
仲良しアピール?
1週間も黙ってたくせに
話さなきゃって思ってたとか
よく言えるよね!」
「それは、サ…」
だめだ。
ここでサオリの
名前を出したら
サオリが巻き添え
くらっちゃうよ。
「あたしが好きなの
知っときながら
早水君につきまとうなんて
本当信じられない。
せっかく優しく
忠告までしてあげたのになあ」
「つ、つきまとってなんか…」
「言い訳してんじゃねーよ!
こっちは全部知ってんだよ!
犬が心配だからとか
早水君に会うための
口実作ってまで
会ってたくせに!
家にまで押し掛けて
早水君の親にまで
つきまとったらしいじゃん!」
「なんで、そんなこと…」
ちょっと脚色されてるけど
出来事はあってる…。
これを話したのは
一人だけ…。

