「あたし…」
「うん」
「あたしは…
最初は名前も知らなかった
早水君と、こんなに
仲良くなるなんて
思ってもみなかった。
それになっちゃ
いけないと思ってた。
でもそれは自分に
言い聞かせてただけで…!
耳は勝手に早水君の
声に反応するし、
気づけば視界に
早水君を探してるし、
この1ヶ月間たとえ
話せなかったって…
早水君のこと
考えなかった日なんて、
一度も…きゃっ」
突然遮られた視界。
心地いい温もり。
気づけばあたしは
早水君の腕の中にいた。
「あー、オレ、今、
世界一幸せ者かも」
「早水く…」
「ヨシ」
「え?」
「ヨシって呼んでよ。
…由梨」
顔が熱いのが
自分でもわかった。
ああ、
これが両思いってことかあ。
胸の奥がキューっとして、
でも、嫌じゃない。

