臆する必要なんてないんだよね。
引っ込み思案も、泣き虫も、本当は、自分の心の持ち方次第だよね。
校門に入る頃には、何人もの友達に出会って---長岡くんとは校庭の途中で別れて---おしゃべりするうちにすっかり忘れかかっていたんだけど・・・やはり・・・好奇心や知りたい気持ちは人には必ずあるもので、教室に入ってしばらくすると、聞きに来る人たちはやはりいた。
数人が私の机の周囲を囲う。
目は好奇心でいっぱいだ。
「ねぇねぇ、福田さんっ! 朝、見ちゃった、私。ほらほら、男子クラスの長岡くんと、佐藤くんと登校してたよね」
「あの二人、かっこいいよねぇ。うらやましい。
福田さん、美少女だし、やっぱり、そういう人の周りには、美少年が集まるのかなぁ。
あ・・・でもでも、この頃みないけど、目のちょっときつい感じの、でも、かっこいいよね、え・・・なんだった? そう、海老原くんはどうしたの?」
「そうそう、いっつも、二人で登校してたのに。
別れちゃったの?」
・・・別れるって。つきあってもいないのに。
弾丸のような質問はなおも続く。
あまりの勢いに、私が何一つ答えることができないというのに。


