大嫌いだから、ね? ③

 
「ありがとう、陽菜さん」



 長岡くんは嬉しそうに笑った。

 なんだか、こっちもつられて笑顔になってしまうような、そんな優しい笑み。



「ああ、見つめあって、わらってる!」



 携帯を握りしめたまま、佐藤くんがさけんだ。



「うわ、うわ、海老原、もう回復不可能だよ」

「なにいってるんだよ、おれと、陽菜さんは友達宣言しただけだよ、ね?」

「うん」



 私はうなずいた。

 疑わしげにみていた佐藤くんだったが、すぐにいった。



「じゃあ、おれも、おれも、友達宣言する、福田さんと!」



 はい、はいっと、手をあげる佐藤くん。

 そんな彼を押しのけるようにして、斉木くんが前に出た。

 まっすぐに、私を見ながら言う。



「おれは友達なんかじゃ、いやです。

 そんなんじゃ、満足できねぇ。

 おれは入学式のとき、壇上で話す福田さんを見たときから---っむぐ」



 しゃべりだした斉木くんの口を素早く背後に回った佐藤くんが、仕返しとばかりに手でふさいだ。