「お願い、陽菜」


 熱でうるんだ瞳でじぃっと見られて、私は顔が赤くなった。

 だって、あまりまじまじと顔を観察したことなかったけれど・・・光くんやっぱりとても整った綺麗な顔をしている。

 いつもは切れ長できつい印象のある目も熱のせいか、うるんでいて、きつさは感じない。

 手をもう一度伸ばしかけて、私ははっと思い出した。

 持ってきた手提げの中から、すばやく袋を取り出してあける。

 冷却シートだ。

 光くんの額の髪をそっとのけて、ぺたんとそれをはった。



「こっちのほうが、いいよ。冷たくて、気持ちいいでしょ?」

「・・・気持ちいいけど、陽菜の手の方がいい」

「・・・」


 私は苦笑するしかなかった。