大嫌いだから、ね? ③

「へ? ええ、なんでいきなり、海老原の部屋番号!? なんで、おれの住所とか、スリーサイズとか聞いてくれないんですか」


 がっくりとテンションがいきなり下がったかのような低い声。

 スリーサイズって!? そんなことより、今は光くんのことだ。

 私は、手短に、佐藤くんに話す。

 光くんからの電話と、かなり苦しそうだったこと。病気なのに、一人で家にいるということを。



「それで、今、光くんちのマンションに来ているんだけれど、どこの部屋かわからなくて・・・困ってるの」

「いや、そのですね、知ってますけど・・・でも。

 いくら、相手は病人と化している海老原とはいえ、福田さんを行かせるわけには。

 赤ずきんちゃんを、オオカミの巣に投げ込むようなもので」

「なにいってるんですか! 光くんは病人です。

 佐藤くん、教えてください!」



 私が声をきつくして、きっぱりと言い切ると、佐藤くんはつられたようにこたえた。



「は、はい! 教えます。部屋番号は知らないけど、マンションの最上階です」

「ありがとう、佐藤くん」



 心からの感謝をこめていった。

 佐藤くんのため息が耳に届いた。