光くんがいないのが、心にぽつんと穴が開いたような感じがしてしまうのは、なぜだろう。

 少し前では、いじわるでこわいって思っていたのに・・・。

 光くんの、優しさと、真っ直ぐな行動に触れて---私の中で、少しづつ気持ちが変化してきて、形を作りつつあるんだ。



 駅を降りて学校までは、遠くない。

 徒歩、五分ほどだ。

 だけど、その五分ほどの間に、顔も知らない生徒に声をかけられることが多くなった。

 光くんといるときは、そんなことなかったのに。

 ちょっと、戸惑ってしまうんだ。



「おはようございます、福田さん」

「いい朝ですね・・・て、雨ですね。今日もご機嫌麗しいですか?」

「はよっす、福田さん。今日も綺麗ですね」



 次から次へと、声をかけられても、なんて返事をしていいのかわからなくて・・・ただ、



「お、おはようございます」



 と、とまどいながら挨拶を返すことしかできない。