「はい、おぼえてます」



 屈託ない笑顔につい、つられて私も笑った。

 佐藤くんは、光くんの友達だ。一度、学食であって、紹介してもらった。

 さらさらした真っ黒い髪と、目をしていて、とても綺麗な顔をしているとおもうんだけど、なんだか・・・性格がずいぶんと面白いというか、変わっていると思ったのが、学食であったときの印象だ。
 
 憎めない性格の人っていうのかな?

 

「本当? めちゃ、うれしいかも」



 さらににこにこして、それから一気にバナナオレを飲み干した佐藤くんは、その空の容器をぽんっと、宙に投げて、それを器用につま先で二、三回けって、ゴミ箱にいれた。

 びっくりするような、足技だ。

 私が目を瞬かせていると、佐藤くんは得意げにいった。



「どう、福田さん、すごいでしょ? おれ、足で狙ったものなら、はずさない自信があるんだ」

「すごい、ですね」

「で、どうしたの? 七組にくるなんてめずらしい・・・っていうか、おれはみたの初めてかも。もしかして、おれに会いにきた?」

「そうじゃなくて」



 私が否定すると、佐藤くんは大げさにためいきをついた。

 がっくりと、肩をおとす。