ハンドルが雨に濡れている。

 銀色の自転車は、軽かった。

 荷物がのせていないからかな?



「陽菜さん、よろしくね。

 海老原、保健室につれていくから。

 かなり、きつそうだから」

「うん。光くん、大丈夫?」

「・・・」



 声をかけたけど、返事はなかった。

 かすかにうなずいただけだった。

 足早に保健室に向かっていく、二人を見送る。




 こんなに熱があってきついみたいなのに、雨に濡れてまで、学校にきた光くん。

 どうしてって・・・聞きたかったけど、出来なかった。

 答えは、わかっているような気がしているから。

 その答えに私は、どう答えたらいいんだろう。

 でも・・・。



 私は態度だけじゃなくて・・・気持ちを、言葉で聞きたいと思い始めていたんだ。



 


 ねぇ、私のことを、どう思っているの?

 言葉で、きかせてほしい・・・と。